神戸発のバンド「みみみ食堂」が一年を通して主催するイベント「みみみクエスト」の“vol.FINAL万事、カッコよく!”がKOBE108にて行われた。
みみみ食堂/YELLoo/寺山リウジ/ふじわらよしひろの計4組によるアーティストのライブは多くの観客に囲まれ、見ていて汗が噴き出るような熱いものだった。
冒険心をくすぐるこのイベント予告動画は、みみみ食堂のメンバー後藤タカヒロ(Dr&Vo)が作成。告知画像はみーちゃん(Ba&Vo)がデジタルイラストでデザインするなど、それぞれからメンバーのイベントへの思いが伝わってくる。
会場に入るとライブが始まる前から多くの人で賑わっていた。箱(ライブハウス)は赤を基調とした店内と金魚たちが泳ぐ水槽がある。物販を手に取りワクワクする観客の姿や今か今かとドリンクを飲んで待っている姿の中照明が落ちると、有名な冒険のテーマソングが流れる。
観客がわっと拍手で迎えたのは、みみみ食堂のみーちゃん(Ba&Vo)と、こんそめぱんち☆木村(Gt&Vo)の二人。
木村「本日は皆様みみみクエスト最終回、万事カッコよく!へお越しくださってありがとうございます!」
みーちゃん「ありがとうございます!」
と観客へのお礼と共に二人のオープニングトークがはじまる。
木村「みみみクエストは今日の最終回に向けて今年一年毎月3日に開催してきましたが、今日はなんと…竜王というボスが二体(2組)でてくるんです。その竜王を倒すために一月から様々な賢者(ゲスト)を招き音楽のチカラをいただいてきました。」
みーちゃん「色んな賢者がいましたね、友情の賢者、軌跡の賢者、脱力、感情とか兵器とか。いっぱいいたわけなんですが、なんと今回も助っ人として賢者が来てくれています。感謝の賢者“ふじわらよしひろ”さんです!」
木村「そうなんです。竜王とか賢者とか何のことやろうと思う皆さんもいると思うのでね、このみみみクエストを紐解くと…普通のライブです。(笑)ライブハウスに始めてくるかたもいるかもしれないのでね。喧嘩するの!?て思ったら大変なのでね。」
会場からはドッと笑いと拍手が。
木村「そして、その倒すべき竜王の正体は…僕たちの先輩でもある寺山リウジさん!そして藤本友己さん率いるYELLooの2組です!」
そして続いて木村が出店の方の紹介も始める。今回のイベントには二つのお店が出店していた。
装飾部門からは、カラフルなアクセサリーが目を惹く作家のHima*Ri-ヒマワリ-さん
https://www.instagram.com/yuasa_yukiko/
そして宿屋の立ち位置でクイックかたもみとんとんとん。さん。
冒険ゲームをした人ならわかるように、武器専門のお店と宿屋専門のお店が出店しているところも、このイベントのコンセプトの一つなのだと感じた。 その後も木村とみーちゃんのトークで場が和む。
そしていよいよ一番目の賢者としてふじわらよしひろが登場。照明がじんわり黒に染まると、ゆったりとした温かい空気の中ふじわらよしひろの繊細な夕日のようなギターの音が鳴る。
「Come on baby~♪」とふじわらがみみみ食堂の楽曲「メリーゴーランド」をサプライズで歌いだすと会場からは歓声が起こった。「一番手、ふじわらよしひろですお願いしますー!」と優しい声色で挨拶をするとカウントとともにギターで軽快に歌が始まった。ゆったりとした曲調の中にも芯のある響きが入り混じる彼のギターに揺らされるように手拍子が自然と沸き起こる。
「いくわよ!ということでよろしくお願いしますぅ」と言葉を交わす。日常に溶け込むようなメロディラインと思い出を振り返るような歌詞はどこか懐かしく、感謝の賢者と名付けられたにふさわしい色を放っていた。二曲目はオリジナル曲「ストーブ」を歌った。
三曲目「あの日とても綺麗な空だったんだ」どこか切ないコード進行で、大切な人に向けた歌を思わせる楽曲。青の光に照らされる中で熱く歌うというよりも自然に奏でているような彼の透明感ある音は自然と肌に染みこんできた。
曲が終わると軽快なMCがはじまる。「本日はお越しいただきありがとうございます!」と挨拶の後「僕も過去に毎月イベントライブをしたことがあるんですが、本当に思った以上に続けるということは大変なこともあります。本当にみみみも、みみみファミリーの皆さんもお疲れ様でした!
今日は平日です。こんなに多くの方が集まってくださって本当にありがとうございます!」と語った。「今日は僕がトップバッターですここからどんどんおもろくなります。何か自分が挑戦していることが不安やなと思う方がもし居たら、大丈夫ですナイストライ!挑戦していると伝えたいです。ここからまた盛り上がるエネルギー残っていますか!?」という問いに拍手がおこり「ナイストライ」が始まった。
コール&レスポンス「おもろいのはこっから」の言葉で観客と一つになると、かき鳴らすギターが会場をさらに熱くする。
彼は神戸を中心に活動している。彼の夢はオリジナル曲「先輩」が教科書にのること。そのために日々一つ一つの歌を、場所を、人を大切に歌っている。夢を語ったふじわらよしひろ最後の曲「ハローグッバイメモリー」目を瞑りギターを掻き鳴らす横顔が印象に残った。
サビで大きく乗りだし会場との距離がグッと縮まり
「世界のみんなに幸あれ!ありがとう!」と挨拶をした。
ブッキングイベントには転換という入れ替わり時間が設けられる。それぞれ観客はドリンクを飲んだり物販に並んだり過ごす時間だ。
ふじわらよしひろ
https://x.com/gorounomegane
再び会場が暗くなると神秘的なシンセ、エレキそしてドラムのサウンドが会場をつつむ。
照明が赤く照らすのはYELLooだ。藤本友己(Gt&Vo)とTakahiro Inoue(Dr)の二人からなる世界観は圧巻なものだと開始三秒で肌で感じた。
クールな表情からはギャップのある華麗にドラムを叩くInoueそして
味のある声を楽器のように操る藤本のサウンドが曲にスパイスを効かせてゆく。
そしてMCでエコーのまま「今、東京ドーム仕様でやってます。あのぉ、めっちゃ響いてますけど皆さんドーム気分どうですか」と会場の笑いをさらうと「僕ここ(Kobe108)の目の前のSPACE DOG!2ndというお店をやっておりまして、そこの前オーナーのカワハラさんという方の曲を一曲やりたいと思います。」と再びエレキとドラムの対話がはじまる。
YELLooは他にはない世界観を放っている。二人だからこその音楽だ。まるで宇宙に放たれたような静けさと激しさが隣り合うような感覚に惹きこまれていく。
印象的な歌詞のように特徴的なサウンドのメロディが脳裏に残り、エレキが照明に当たるとそれもまた音に溶け込んでみえた。楽曲紹介などがあるわけでは無かったが流れる水のように展開していく音の遊びのように気が付けば最後の盛り上がりに差し掛かる 。
最後に藤本は「このあとも寺山リウジそして、みみみ食堂と続きます。最後まで楽しんでいってください。」と語りラストの楽曲Africaのサウンドが鳴る。
藤本友己
https://x.com/the_fujimoto
Takahiro Inoue
https://x.com/mother_chuckinM
続いて登場したのは寺山リウジだ。
キャッチ―なギターのアルペジオと共に「みみみクエストのラスボスをやらせてもらいます寺山リウジですよろしくお願いしまーす!」と挨拶とともに拍手に包まれる会場。
そして一曲目「フロントマン」がはじまる。
彼の楽曲は思わず身体を横に揺らしたくなる明るく軽快なリズムの輪を広げていく。客席もぴったりなテンポの拍手でパーカッションを鳴らしていた。
MCで寺山は「今日のイベントの副題“万事、かっこよく!”はSPACE DOG!2ndの前オーナー、タクさんの口癖やったんです。ただもとは桂枝雀さんの萬事気嫌よくという言葉を文字ったモノなんですけれどね。次にそういう曲を歌います。」と述べた。そして二曲目は口笛をはじめギターの音色を絡ませた。
「今日はめちゃくちゃ火曜日ですよね、皆さんようお越しくださいました。それもみみみ食堂のおかげやね!僕普段の火曜日はセックスマシーンというバンドの方と“おがたさんといっしょ”という番組名でツイキャスで毎週配信しているんです。楽しくて仕方ないんですよ。ずっと男ばっかりなんですけどね(笑)」
と観客と距離の近い話し方で語ると、三曲目を始めた。
「僕も自分の店SPACE DOG!2ndで今月で70回目の自主企画しているんです。お店やりだして三年目かな、お店がテーマの歌を歌います」
はじまった四曲目はハーモニカの音が響いた。
黒いギターと黒のスーツで歌う寺山の奏でる音楽は、そっと背中を押してくれるような、話をきいてもらっているような気持ちになるものを感じた。ギターのテクニックやハーモニカなど楽器の難しい進行もさらっとこなしながら弾く姿には、まさにボス役という存在感を魅せた。寺山は「木村くんのほうがラスボス感あるよな?体格も大きいし。」というと、大爆笑の観客の笑い声の中オリジナル曲「グラタン」が始まった 。
「今日やった曲は今年作った曲ばっかりです。来年も、これからもずっとみみみ食堂、ふじわらよしひろ、YELLoo、Kobe108、寺山リウジをよろしくお願いします!」と述べると寺山は最後の曲を熱く響かせた。
寺山リウジ
https://x.com/terayamariuji
そしていよいよラストはイベント主催のみみみ食堂だ。観客の中にはカメラを構えレンズ越しに目をキラキラさせて待つ人もいた。
始まる前の三人のわくわくする緊張感がこちらまで届いてきた頃
木村「どうもこんばんは!みみみ食堂です!お願いします!」
みーちゃん&後藤「お願いします!」
木村「なんとなく声を出そうと思います。このライブを始めるにあたって皆さんとスタートしたいなと。僕がみみみクエストと言ったら皆さんは肘と膝をくっつけるようにして、みみみクエストGO!GO!と。生まれた場所も環境も違うけどこうやって音楽に群がる僕たち」
みーちゃん「群がるって虫みたいやな(笑)」
木村「皆さんの色んなところにあった線が今ここに収束しています。皆さんのGO!GO!聞かせてください!用意はいいですか?」
観客の熱が最後列まで伝わってきた頃、
木村「行くわよ~!みみみクエスト~!」
観客の声と共に楽曲「メリーゴーランド」は始まった。
後藤の優しい低音の声に、みーちゃんの柔らかい高音そして
木村の声も合わさった三人の声と楽器が重なると会場は一気にみみみ色に染まる。
木村「楽しいこと探しにいきましょ、楽しいことを以降ファンキーと呼びます。楽しいことなんやろう、手拍子も歌うことも全部楽しいやん。楽しいことをやっていきましょ!後藤くんファンキーを探そうビートCome on!」
後藤のカウントとともに「ファンキーを探そう」のキャッチーなメロディがはじまった。
みーちゃんのベースボーカルからはじまるこの曲は思わず口ずさみたくなる楽曲の一つだ。みみみ食堂は全員がボーカルを務めるというスタイルで、それぞれの声が楽曲をカラフルに彩りながらもぎゅっと味がしまっている。
そして木村のエレキギターのソロサウンドから「黄昏のマーチ」がはじまった。人を守ることそして自分を守るということについての歌詞がじんわりと染みてくるこの楽曲はYouTubeのMVでもストーリー性があり楽しめる楽曲だ。
木村「今日は皆さんありがとうございます!今日呼んだお三方は僕が音楽を始めたころから近くにいてくれた人たちなんですが、もう15年くらい経っているんですが今でもこうやって繋がっていただけて本当にありがとうございます。来てくださった皆も本当にありがとう」
「音楽って自由っていうじゃないですか。自由に表現していいよて。だから皆さん自由に感じてください。わ―、音だなぁって。」
みーちゃん「音だなぁってアホちゃうねんから」
観客がリラックスして笑う姿に、木村のトークにテンポよく突っ込むみーちゃんや後藤のやりとりは、みみみ食堂のライブの見どころの一つだと感じた。続けて木村は
「手拍子に集中して、音楽聴けてないんちゃうかなとか思うんです。自然に手拍子が出るのはいいことなんですけど、これがリズムか、これがハーモニーか。とか自由に感じてほしい。今日こうやってライブするにあたって曲を作ったりメンバーとイメージを共有したり、スタジオ入って練習を重ねてライブをしています。皆さんがどういう風にライブを楽しむか、見ています。」
後藤「いややなあ(笑)」
観客からもどっと笑いが。
木村「手拍子を無理にしなくてもいいよって言いたくて。したい人はしてくださいそれでは手拍子が難しい曲いきます」
と笑いの連鎖の中「バースデー」が始まった。
かわいい歌詞とメロディにどこかかっこいいリズムが重なる楽曲が響く。体を揺らしたり手拍子をしたり、お酒を飲みながらと観客が自由にくつろいで聴いている姿が影になり揺れた。
Liveも後半戦になり、木村は一言
「新曲を持ってきました。曲のタイトルを悩んでいます。」
会場からは喜びの声が。
「初めてやる曲をするときは緊張するんですが、このわくわくドキドキも成長する過程も楽しんでください!」
エレキのロックなサウンドから新曲は始まった。
今までの楽曲には無いクールなコード進行とリズムに、みみみ食堂の新しい一面がまた見えた新曲はKOBE108の観客ごとゆっくりと飲み込む新鮮さだ。
続けて後藤のドラムとみーちゃんのベースが対話する中
木村「ラスト2曲お届けします。寺山さんが言った“音楽が染みる”という言葉が頭に残っていて、そのことについて考えていました。音楽って染みるよなーって。でも、もしその逆もあって音楽にも僕らが染みこんでいくとしたら。僕らがいなくなっても、僕らが染みこんだ音楽はどこまでも続いていくんやないかって。そんな思いを込めて一曲ゆるるという曲をお届けします」
熱いメッセージとともにドラムとベースが足踏みを強め、木村のエレキが合流し「ゆるる」が始まる。
ゆるるは、大切な人たちが頭に浮かぶ歌詞で暖かい日常の景色が浮かんでくる楽曲だ。
みーちゃん「みみみ食堂次で最後の曲です!」
観客からは惜しむ声が溢れる。するとみーちゃんは続けて
「私たちみみみ食堂…
来年からも、毎月企画ライブをやっていきます!」
と発表が。観客からは歓声があがった。
みーちゃん「来年から企画ライブは月初めの土日のあたりになります!来年の日程は1月5日(日)場所はSPACE DOG!2ndです」
木村「SPACE DOG!2ndができて三年半たちました。前店主カワハラさんが亡くなって、この場所を残すか手放すかを皆で話し合いました。その当時僕は思ったんです。場所がなくなっても大事なのは全部受け取ったんじゃないかな、て。だけど三年半経って思います。残っていてよかったな、て。あの時かっこつけすぎなくてよかったです。本当にいい場所なのでまたSPACE DOG!2ndにも遊びに来てください。本当に今日はありがとうございました!」
みーちゃん&後藤「ありがとうございました!」
木村「何を食べるかじゃない、誰と食べるかが大事。誰と音を鳴らすかが大事。誰とイベントをするかが大事。誰に向けて音を鳴らすか。全てが大事ですね、最後一緒に歌ってください!」
木村の熱い思いをまろやかに包む、みみみ食堂が大切にする曲の一つ「ペコペコソング」がはじまった。2024年みみみクエストラストの曲である。
木村「みんなに幸あれ―!」
みみみ食堂の最後の楽曲が終わるとやまない拍手とともにそれはアンコールの手拍子へと変わる。
みみみ食堂「ありがとうございます!」
みーちゃん「今日来てくれた皆様そして本日の出演者の皆様にも大きな拍手を!」
木村「出演の皆のいいところ一つずつ言っていこ」
みーちゃん「番外編やな(笑)」
木村「よっちゃん(ふじわらよしひろ)は、今年の僕の誕生日に家に来てくれてプレゼントをくれました。よっちゃんはそのプレゼントくれるときに携帯で音楽を鳴らして一人で踊りながら一人フラッシュモブしてくれました!」
後藤「フラッシュモブちゃうやん(笑)」
みーちゃん「寺山さんは、うちの誕生日にパンダ好きを覚えてくれていて、パンダグッズいっぱいくれました。藤本さんは今年めっちゃ痩せてどんどんかっこよくなってる。とともに優しくなってる。」
木村「優しくなかったん?」
みーちゃん「出会ったときは、うちが楽器放置していたら、これ売れるかな。て言ってたから(笑)」
木村「このメンバーがいなくても地球は回る。だけどこの今日のメンバーがいたらもっと楽しく地球は回ると思いませんか?僕らミュージシャンが音鳴らさなくても地球は回る、だけど何か音鳴らした方が楽しく生きていけるんじゃないかな、元気届けていけるんじゃないかなって思いながら願いながら歌います、ありがとう!」
アンコールの「歌わなくても」がはじまると明るい手拍子が響いた。
木村のギターソロには、熱い言葉に表せない思いが乗って今年のクエストを語るものが乗っていた。大サビになるにしたがってもう終わってしまうのか。という思いが募って思わず眼頭が熱くなる。
みみみ食堂
https://x.com/onaka_goodgoods
全ての楽曲が終わると、最後に木村が出演者をステージに呼んだ。
このイベントが楽しかったことを物語るかのように観客も汗をタオルで拭う姿がみられた。冒険というテーマがぴったりな様々な色の音楽があり、想いや願いが詰まった会場となった。みみみ食堂の挑戦と冒険は来年の2025年も、また新たな幕をあけていくのだろう。