関西で、一人バンドをしているロックな歌い手がいる。「君がそうなら僕はこう」だ。バンドだからこそ伝えたい熱い思いが彼にはある。結成から今のカタチになるまで、そして2025年2月8日(土)にワンマンライブが迫った彼が思うこととは。「君がそうなら僕はこう」に迫ってみた。

音楽を始めたきっかけから教えてもらえますか?

音楽を最初に始めたきっかけは、小学校のころにまだDVDではなくビデオテープの時代で、テレビで放送されている「モノマネ番組」を録画して繰り返し見ていたことです。

コロッケさんや清水アキラさんなどのモノマネを見るのが大好きで、自分でモノマネを練習していたわけじゃないんですが、昔のフォークソングや演歌にも自然に触れるようになりました。それで「あ、音楽って面白いかも」と思うようになったんです。

ギターを始めたのはいつ頃ですか?

うちの親が趣味でアコースティックギターを家に置いていたんです。小学校のころに触ってはみたものの、チューニングも分からないし、指も痛いしですぐやめちゃって、その繰り返しで全然弾けるようにはならなかったんですよ。


それが本格的になったのは高校に入って軽音楽部に入ってからです。でも高校ではまずドラムをやったんですよ。そこで初めて「エレキギター」という存在を知って、アコギよりも弦が痛くないし、ドラムの傍らエレキギターも少し弾き始めて、そこから楽器を触るようになりました。

高校時代はどんな感じだったんでしょう?

僕は大阪生まれ大阪育ちで、地元の高校に通っていました。学力的には真ん中くらいの学校で、勉強もまさに平均点って感じでしたね。もともと人前に出るのがあまり得意じゃなくて、唯一目立つ機会が文化祭のバンド演奏くらいでした。

今思うともっと前に出ておけば良かったなとも思いますけど、そのときは部活でコピー曲やるだけで大満足でした。

大学に入ってからはどうでしたか?

大学では「アメリカ民謡研究部」という、名前だけ見るとすごくマニアックな部活に入りました。でも実質、軽音楽部とやってることは同じで、カントリーをするわけでもなく、普通にRADWIMPSBUMP OF CHICKENなんかを演奏してました。そこでオリジナル曲を作るバンドを結成して、ドラムを担当しながら、ギターも弾けるメンバーと一緒に曲作りを始めたんです。

大学卒業後はどのような道に進まれたんですか?

大学4年で卒業が決まった段階で就職活動はしていなかったんです。大学在学中から組んでいたオリジナルバンドを頑張りたかったんですけど、2年くらいやって全然ファンがつかなかったんですね。

僕はそのときドラム担当で、メインの曲作りもしていませんでした。これはマズいと思って、そのバンドを抜けて、改めて自分でバンドを作ろうと。それが「君がそうなら僕はこう」になります。そこから数えると活動はもう13年目くらいですね。

「君がそうなら僕はこう」というバンド名の由来は?

意味はほぼなくて(笑)。当時、一緒にバンドを立ち上げたメンバーが30個くらい候補を出してきてくれて、その中から僕が選んだものが「君がそうなら僕はこう」でした。

ほかにも「土曜日の次は日曜日」みたいな、意味があるようで実はない、みたいな案がいっぱいありましたね。名前から想像するとちょっと暗めのバンドと思われがちなんですけど、実際はかなりポップでストレートな音楽をやってます。

現在は実質1人で活動して、サポートメンバーを雇っているとのことですが、最初から1人でやりたいという思いがあったのですか?

いえ、最初は4人メンバーがいて、その後徐々に将来の不安とかで脱退していったんです。喧嘩別れではなく、「仕事に専念したい」「資格の勉強をしたい」などの理由で。
で、気づいたら僕1人しか残っていない状態になってしまったんですよ。

今年の1月までは女性ボーカルがもう1人いたんですが、その方も辞めることになって。そこで僕も一緒に全部やめるか、弾き語りのシンガーソングライターになるか、1人でもバンド形態でやり続けるか、いろいろ考えたんです。
最終的には、今応援してくれる方々が観たいのは「バンドとしての僕ら」だろうなと思ったので、サポートメンバーを雇ってでもバンド形態を続けようと思ったんです。費用面は大変ですけどね(笑)。

生演奏にこだわると、金銭的な負担も大きいですよね。

そうなんです。スタジオ代もかかるし、サポートメンバーさんへのギャラも僕が全部負担しなきゃいけないので。

でも、お金がないからカラオケ音源にします、っていうのは寂しい。シンガーソングライターさんなら弾き語りだけとか、時々バックバンドをつけるっていうのが普通ですけど、僕は毎回のライブでバンドでやりたいんですよ。だから大変だけど続けていこうと思っています。

新しく正式メンバーを募集するご予定はあるんですか?

実はずっと探していて、僕も1人でやりたいわけじゃないので。ただ、他のバンドをやっている人を引き抜くのも悪い気がするし、なかなか難しいですね。

いまのところはTwitterで「解散」ってワードをエゴサして、最近バンドが解散した人を調べたりしてます。慎重に探してはいるんですが、まだこれという出会いがなくて。今年中に正式にメンバー募集を打ち出したいと思っています。

ライブも拝見しましたが、なかなか面白いパフォーマンスですよね。

ありがとうございます。今は僕とサポート3人の4人編成なんですけど、やっぱりサポートメンバーには「変なカツラ被って出てきて」みたいなことは頼みにくい(笑)。

もともと正式メンバーが4人いた頃は、いろいろと変な演出をやってたんですよ。そういうところも含めて楽しかったんですけどね。

代表曲や人気曲などはありますか?

一番聴かれているのは「集客ヤバイ節」っていう曲です。

まだ全然お客さんが来なかった時代の“ライブあるある”を歌詞にしているんです。ブッキングしてくれた人に睨まれるとか、先輩のイベントに呼んでもらったのに全然集客できないとか、本当にあるあるネタを詰め込んだ曲なんですよ。それが妙にバンドマンの間で好評で、今でも一番再生されてますね。

あと、少しぶっ飛んだ企画で「いい人いるからLINE教えといた!」という曲もあります。これは、僕の個人情報(QRコード)をMVでわざと晒して、実際に知らない人からLINEが大量に来たっていう(笑)。そういうちょっと変わったこともいろいろやってます。

 

SNSでのファンクラブや配信についても気になるんですが…

僕、ツイキャスを週3日くらいやっていて、夜の8時~10時台のどこかで1時間、雑談や企画配信をしています。朝6時から1週間連続で配信して、毎日コメントくれた人に限定グッズをプレゼントしたり、全身ピカチュウの着ぐるみを着て街を歩きながら配信するとか、いろいろやってます。


あとは、ファンクラブ的なものもオンラインサロン形式で運営しています。月額制で、ブログやライブ動画、限定グッズなどを用意していて、仕事を辞めて音楽に専念するときに立ち上げたんですよ。

今後の予定や目標があれば教えてください。

来年の2月8日に、100人無料ワンマンライブを開催する予定です。

1人になって不安視されることも多かったんですけど、「まだまだバンドやる気あります!」ってところをちゃんと見せたいので、ちょっと大きめの目標を掲げました。無料でやるからこそ、より多くの人に観てもらえるかなと。達成してアフターパーティーも考えているので、気軽に遊びに来てほしいですね。

同世代や、これから音楽を始めたい人へのメッセージがあればお願いします。

になんと言われても、とりあえず好きなことは続けてほしいですね。周りから「意味ないよ」なんて言われても、自分が面白いと思うことをやり続けてると、いつかそれが評価されるときがくると思います。

僕も最初はまったくお客さんがいなかったし、ファンが0人の時代が長かったんですけど、続けるうちにちょっとずつ「面白い」「また観たい」って言ってくれる人が出てきたので。
これからもどんどん予想を裏切る楽しいことをやっていきますので、ぜひ応援よろしくお願いします。