「聴く人の心の風景を呼び起こさせるような歌が歌いたい」彼女のライブをみると不思議と懐かしい景色が見えてくる。そんな音を奏でるシンガーソングライターがいる。西山小雨だ。彼女の音楽が生まれるきっかけとは何か、多才な彼女が音楽をはじめた原点とは何か独占インタビューをした。


1. 自己紹介と現在の活動

Q:まずは自己紹介をお願いします。
西山:宮城県出身、東京在住のピアノとウクレレ弾き語りシンガーソングライター、西山小雨です。

普段はソ口の弾き語りをメインに活動しています。他に「笹口騒音オーケストラ」でのバンド活動や他のアーティストのサポート、ラジオ高崎「西山小雨の音楽食堂」でのパーソナリティ、「せいせきウクレレサークル」でのウクレレ講師などをしています。声がかかれば何でも挑戦する感じですね!

Q:もともとはバンドのキーボーディストだったんですよね?
西山:はい。2010年から2014年ぐらいまで「雨先案内人」というバンドで活動していました。当時は仙台に住んでいて、メンバーで車に乗り、東京や大阪まで遠征していました。そこを抜けてソロに転向し、弾き語りがメインになったんです。雨先案内人も一時期復活したことがありましたが、私の音楽活動のはじまりはまさにそのバンド時代です。


2. 音楽を始めたきっかけ

Q:音楽自体を始めたきっかけは何だったのでしょうか。
西山:もともと小学校卒業までピアノを習っていたことと、両親が音楽好きで家に楽器が転がっている環境だったのが大きいですね。音楽を本格的に「やってみよう」と思ったきっかけは大学の軽音サークルでバンド演奏の楽しさを知ったこと。それと、地元・東北の「ARABAKI ROCK FEST.」にボランティアで参加して忌野清志郎さんのステージをたまたま見たことも心に残っています。

Q:フェスで清志郎さんのライブを観たんですね。
西山:はい。ゴミ拾いをする代わりに、肩越しにライブを見られればいいかなくらいの感覚で行ったんですが、気づいたら周りの知らない人たちと手をつないで踊っていて。「これが音楽の力なのか」と衝撃を受けました。忌野清志郎さんをこの時初めて知ったんですが、圧倒的なパフォーマンスで、音楽が好きだと心から思えた瞬間でした。


3. アーティスト名「小雨」の由来

Q:「西山小雨」という名前はどういう経緯で?
西山:西山は本名ですが、「小雨」は雨先案内人時代からのもので。
当時みんなで”天気に関する名前になろう”いう流れがあったんです。その時、Vo.の雨ノ地晴太郎が「ピアノの音が小雨っぽい」と名付けてくれました。バンドを抜けた今でも、気に入ってずっと使い続けています。


4. ソロになって初めての曲「未来へ」

Q:YouTubeなどで曲を聴けますが、特におすすめは?
西山:「未来へ」がおすすめです。ソロになって最初に書いた曲で、今の私の音楽活動の原点ともいえる一曲ですね。

Q:どんなエピソードがある曲でしょう。
西山:バンドを抜けて自主制作CDを作ったとき、「未来へ」だけは入れなかったんです。知り合いが「この曲をアレンジしたい」と言ってくれたので温存していたんですけど、途中で連絡が取れなくなってしまって。
それで「じゃあいっそMVにしよう」と映像監督の大崎章さんにお願いしたら、「これはMVじゃなくて映画にしよう」と盛り上がって、結果的に映画『無限ファンデーション』が生まれたんです。私自身も出演し、劇中曲を複数書くことになったりと、いろんな扉を開いてくれた特別な曲ですね。

無限ファンデーション1シーン


5. 楽曲制作のプロセス

Q:曲作りは詩が先か、メロディーが先か、どちらですか?
西山:ケースバイケースですが、一番しっくりくるのは詩とメロディーが同時に出てくるときですね。言葉が自然にメロディーに乗っているから後付けの苦労が少ないです。歩いているときや電車の中など、風景が動いている環境でふと浮かぶことが多いです。自転車に乗ってる最中にできた曲は、軽快でポップだったりします。


6. ステージや表現の広がり

Q:今後、ステージ上でやってみたいことは?
西山:朗読劇の劇伴を担当したのがとても面白かったですね。映画の音楽制作も含め、別ジャンルとのコラボには新鮮な刺激があるので、もっといろいろ挑戦してみたいです。

それから放置しているギターにも手を出したいです。映画「辻占恋慕」で「ギター弾き語りの主人公の曲を書いてほしい」と依頼された際、楽器特有の雰囲気を表現するために初めてギターで作曲をしたんです。今後ちゃんとステージでも弾けるように、今一度練習したいですね。


7. 音楽以外の趣味・ライフスタイル

Q:音楽以外で大事にしていることは?
西山:寝ること、食べること、アニメを見ることです。夜どんなに遅くなっても夜食を食べたいし、アニメを1本だけと思ってもつい2本3本と見てしまうんですよ。

中でも「カウボーイビバップ」がずっと一番好きですね。宇宙の賞金稼ぎの話で、菅野よう子さんの劇伴やキャストの豪華さが素晴らしく、音楽とも関連している部分が多いアニメなので音楽好きには刺さるアニメだと思います。

好きな本やアニメなどをテーマに曲が生まれることも多いです。本なら「星の王子さま」「銀河鉄道の夜」、アニメなら「ゲゲゲの鬼太郎」「メイドインアビス」などは実際に曲の元になったりしていますね。

ムーミンという作品も子どもの頃から大好きで、そこからインスピレーションを受けて作った曲だけで2曲あります(「地球最後の龍」「Fantasia」)。こういう作品からイメージを膨らませての曲づくりも楽しいです。


8. しんどかった時期とコロナ禍

Q:これまでで一番大変だった時期は?
西山:そのときは大変なんですが、後で忘れるタイプなんです。ただ、コロナ禍は大きな転機でした。ライブがゼロになって「どうしよう」と思いつつ、「少し休んでも大丈夫だ」と気づけたんですね。

コロナ前は月に6~8本のライブをこなしていて、止まったら忘れられるんじゃないかという不安もありました。でも一旦止まって、再開したらお客さんはちゃんと待っていてくれた。そこからは無理に数をこなすより、「出たいライブ」を厳選し一つ一つのライブをより大切にしようと思えるようになりました。


9. ファンとの思い出「魔法の窓」

Q:ファンとの交流で印象的なことはありますか?
西山:配信アプリで生配信をしていたとき、リスナーさんたちから歌詞を集めて作った「魔法の窓」という曲があります。スマホ画面を“窓”に見立てて、世界中どこでもつながるというイメージで書きました。TRFのDJ KOOさんの企画コンピにも参加させていただいて、各種音楽配信でも聴ける曲です。リスナーさんとのやりとりがなければ生まれなかったので、とても思い入れがあります。

お客さん達には日々助けられ続けているので、感謝が絶えません


10. 映画作品への関わり

幸運なことに、これまで『無限ファンデーション』『東京橙景』『#平成最後映画』『辻占恋慕』『みーんな、宇宙人。(バンド「笹口騒音オーケストラ」で)』などに主題歌・楽曲・劇伴提供や出演などで関わることができました。一人では一生作らないような曲と、自分自身も出会えることもこういった映画や映像作品の魅力です。毎回、新鮮な刺激があって、とてもありがたいご縁だなと思います。
『無限ファンデーション』『東京橙景』『辻占恋慕』『みーんな、宇宙人。』は、現在映画配信サービスなどでもご覧いただけます。それぞれ私にとって特別で愛おしい作品ですので、ぜひ観ていただけたら嬉しいです。


11. AI音楽の時代に「私しか表現できないこと」

Q:AI音楽やボーカロイドが注目される今、どう感じていますか?
西山:ものすごくレベルが高い作品もあって、素直にすごいなと思います。でも私自身の感情や日々の気持ちは私にしか歌えないので、そこは私の役目ですね。大きな主義主張はなく、あくまで「今、自分が伝えたいことを歌う」だけ。

若い人はYouTubeで世界のプロ奏者を簡単に観られるので、目指すハードルが高くて大変かもしれません。でも私は技術もそうですが何より、自分が感じた思いを表現する気持ちを大事にしたいです。


12. 「武道館に立ちたい」より「誰かの風景と共にいたい」

Q:これからの目標や伝えたいことは?
西山:私は「武道館に立ちたい!」とかメジャーデビューといった大きな目標はあまりなくて、誰かの日常の風景に私の曲がそっと存在してくれたら嬉しいな、と思うタイプです。もちろんライブは本気でやっているので、よかったらぜひ生で聴きにきてほしいです。

5月25日(日)に幡ヶ谷36°5にて、映画『辻占恋慕』の楽曲をまとめたCDの発売イベントを行います。実は久しぶりのレコ発で、かなり気合いの入った日なので、どのライブか迷う方は是非この日にお越しください!


13. これからやっていきたいこと

Q:先ほど朗読劇や映画音楽など、別フィールドのコラボにも積極的だとおっしゃっていました。さらにやってみたいことはありますか?
西山:音楽以外のフィールド、例えば舞台や映像作品とのコラボはもっといろいろ関わってみたいです。そういうところでないと出会えない曲やアイデアがあるので。

あと挑戦したいこととして「アニメの主題歌をやりたい」という夢があります。私自身、子どもの頃からアニメに救われ続けてきて、大好きな作品の主題歌はいつまでも色褪せません。誰かの心に一生残る歌を書きたいんです。極端に言えば、その人が私の名前を覚えていなくても、ふと口ずさんでもらえるような。そんなアニソンをいつか作れたら嬉しいですね。

これからもライブを続けていくので、是非遊びにきてください!


■Liveスケジュール

■2025.04.13.(日)新代田crossing 西山小雨 × crossing presents 「小雨食堂 vol.3 ~春の芋煮会~」

open12:00 / start13:00 (20:00終演予定) ¥2000 +2drink
出演: AATA / 齊藤ジョニー / タケモトリオ / 蜜 / 西山小雨
crossing会場と屋上を両方使って、初めての終日開催となるライブバー企画。西山小雨特製の仙台芋煮やお惣菜、地元の美味しいお酒と、私が本当に好きなアーティストのライブを一緒に楽しめる特別な企画です!
ご予約 https://tiget.net/events/383777

 

■2025.05.25.(日)昼 幡ヶ谷36°5【36°5】17周年記念月間【真実一路の5月25日目/昼】 『雨後〜ふたたび〜』

open13:30 / start14:00
¥3000 +1drink
出演: 雨後=早織,ボス,西山小雨 / co-produce 齊藤ジョニー
早織(俳優)、西山小雨、ボス(SSW)の3人がたまに集まって歌う新感覚フォークユニット「雨後(うご)」の2年ぶり、二度目のライブ。
co-produce 齊藤ジョニーも巻き込んでのびのびとお届けします。

 

■2025.05.25.(日)夜 幡ヶ谷36°5 【36°5】17周年記念月間【真実一路の5月25日目/夜】『小雨日和その25』〜「じゃがいも-映画『辻占恋慕』曲集-」レコ発ワンマン〜

open17:30 / start18:00
¥3000 +1drink
出演: 西山小雨
実に6年ぶりとなるレコ発ワンマン。本作に収録される、映画「辻占恋慕」に寄せて綴られた5つの楽曲を中心に歌います。一度じっくり曲を聴きたいと思って下さる方は是非こちらへ。

■2025.07.20.(日)夜 西荻窪ARTRION

西山小雨ワンマンライブ『小雨日和その26』開催決定!