2001年に「トマトスープ」でメジャーデビューして以来、弾き語りをメインに活動を続けているシンガーソングライター・拝郷メイコさん。スタジオジブリとのタイアップや、初期ボーカロイド「MEIKO」の声を担当した「中の人」としても知られ、多くの音楽ファンにその存在を届けてきました。
今年でデビューから約24年。長いキャリアの中で、拝郷さんがどのように音楽に向き合い、どんな思いを大切に歌い続けているのか──。ゆるやかで温かいトーンの会話の中に見え隠れする音楽観や、5月に控えるライブ・イベントのお話をじっくり伺いました。
プロフィール&自己紹介
──まずは簡単に自己紹介をお願いします。
拝郷メイコ(以下、拝郷):
「2001年に『トマトスープ』でデビューしました。ギター弾き語りが基本で、いろんな場所を回りながらライブをしています。プロフィールとしては、ヤマハのオーディションをきっかけに音楽の道へ進んだり、スタジオジブリの企画で『どれどれの唄』を歌わせていただいたり。さらに、ボーカロイド“MEIKO”のキャラクターボイス(いわゆる“中の人”)を担当させてもらったりしています。普段はのんびりと暮らしていますが、曲を作るときは集中モードですね。」
音楽活動のはじまり
──デビュー前の音楽活動はいつ頃から始められたんでしょうか?
拝郷:
「そもそも、歌はずっと大好きでした。だけど“プロを目指そう”と強く思っていたわけではなく、高校のときにフォークソング部に入って、文化祭でバンドを組んだのが大きなきっかけですね。みんなでビートルズやレニー・クラヴィッツ、スティービー・ワンダー、日本のロックバンドなど、いろんな曲をカバーして。
その後、ヤマハ主催の高校対抗バンド合戦に出場したとき、審査員をしていた新人発掘担当の方から声をかけてもらい、女の子3人+男性1人のユニットに参加することになりました。それがテレビ番組のオーディションでグランプリを取ったりしたのですが、その後ユニットが解散してしまって。そこからあらためてソロでやってみよう、という流れで19歳ぐらいから曲を書きながらギター弾き語りを始めた感じです。」
デビュー後の活躍とスタジオジブリ「どれどれの唄」
──デビュー後はCMやジブリの企画など、さまざまな作品に関わられていますよね。特に印象的だったのは「どれどれの唄」かと思いますが、制作のきっかけを教えてください。
拝郷:
「『どれどれの唄』は、スタジオジブリの鈴木敏夫さんとのつながりから生まれました。私を担当してくれていたヤマハのスタッフさんが鈴木さんと仲良しで、『こんなのやってみない?』というお話をいただいたのがきっかけだったんです。
キャラクターの名前が“どれどれ”くんで、“お花が咲いたよ、どれどれ?”みたいな、子どもでも歌える優しい歌詞にしてほしいっていうオーダーをいただきました。そこから自然にメロディが出てきて、CMサイズだけじゃもったいない!と思って1曲丸々作ったんですね。
ちょっとコミカルで頭に残るメロディになったこともあって、子どものころに歌ってくれていたという声を聞くと、本当に嬉しいです。」
──
◆「どれどれの唄」の音源はこちら
初代ボーカロイド「MEIKO」の“中の人”として
──拝郷さんは、初代のボーカロイド“MEIKO”の声を担当されたことでも有名ですよね。
拝郷:
「ボーカロイドって、PC上でメロディと歌詞を打ち込むと、人間の声で歌ってくれる音源ソフトなんです。私はその元となるたくさんの音声を録音して、素材を提供しました。その後、初音ミクが大ブームになったり、いろいろなゲームやグッズが生まれたり……。
最近では『プロジェクトセカイ カラフルステージ(プロセカ)』という音ゲーが流行して、もともとボーカロイドを知らなかった新しい世代の子たちがゲームを通じて“MEIKO”を知り、さらに拝郷メイコにたどり着いてくれるケースもあって。“中の人に会えてびっくり!”と声をかけられたりしますね。ここまで大きく盛り上がるとは、当時は思わなかったです。」
■現在映画も上映中!
https://sh-anime.shochiku.co.jp/pjsekai-movie/
ライブで育まれる“空気”の循環
──普段のライブで大切にしていることはありますか?
拝郷:
「ライブの空気感を大事にしています。あくまで“生”の場ですから、その日の会場やお客さんの雰囲気で、歌のニュアンスが変わってくるんですよね。だから私は『みんなが出してくれる空気を自分が吸って、歌って、また返す』みたいな循環を意識しているんです。
路上ライブでたまたま聴いてくれた人がいて、じっと見つめながら最後まで聴いてくれて。それで“必要とされているんだ”って実感したとき、すごく大きな勇気をもらったり……。そういう瞬間が積み重なって、“じゃあ次も歌おう、前に進もう”って思えますね。」
ファンとの思い出
──これまでの長い活動の中で、ファンとのエピソードもたくさんあると思います。印象深いものは?
拝郷:
「もう本当にいろいろあるんですけど、デビュー当時からずっと応援してくれる方々が多いんです。特に、毎回のようにライブに来て、面白い手紙を書いてくれた小柄なおじさんがいて。その方はお酒が大好きで、酔いながら聴いてくれていたのが印象的でした。
最近は来られていないけど、“元気かなあ”って気になってしまうんですよね。長く活動していると、いろんな出会いと別れがあるのも事実。でも、今も応援し続けてくれる方もいて、ありがたいなと思っています。」
5月6日開催! お誕生日&「天窓」復活のワンマンライブ
──5月は拝郷さんの大きなライブが続きますね。特に5月6日のワンマンライブについて詳しくお聞かせください。
拝郷:
「はい、5月6日は私の誕生日当日で、新しく神楽坂にオープンした“天窓”さんでやらせてもらいます。
実は私、デビュー前に初めてのワンマンライブをやらせてもらったのが、四谷にあった“天窓”さんなんです。そこから移転や閉店などいろんな歴史を経て、このたび神楽坂で復活。そんな“天窓”が再開してからの公演なので、ファンの方々も『これは行かなきゃ!』と思ってくださっているみたいで。
当日はサポートメンバーも3名入ってくれます。出会った頃から現在まで長く演奏を支えてくれている大切な仲間たちです。最新アルバムは2017年の『ホシノモト』ですが、それ以降も配信シングルなどで新曲を作ってきたので、こういった場で改めてお披露目・アレンジを試せるのが楽しみ。昔の曲から最近の曲までいろいろやりますよ。」
2025年5月6日(火・祝)
拝郷メイコ ワンマンライブ『天窓より月灯り』
場所:神楽坂天窓(新宿区神楽坂3丁目4 AYビル B1F)
OPEN 18:15 / START 18:45
料金:前売¥4,500 (1drink別途要)
[サポートミュージシャン]
内田敏夫(Gt.) / 皆川真人(鍵盤) /藤縄陽子(Vn.)
販売方法:3/8(土)12:00〜拝郷メイコ オフィシャルショップにて
https://haigoumeiko.stores.jp/
◆「ホシノモト」より収録曲の試聴はこちら
5月開催「朝が来るまで」フェスにも出演
──さらに5月には「夜を灯して」主催のイベントにも出演されるとか。
拝郷:
「はい。大規模イベントみたいなので楽しみにしています。“登れるなら登ろう!”みたいな感覚です。私にとっては挑戦でもありますし、面白そうなことがあればどんどん参加してみたいんですよね。みんなで一緒に盛り上がれたら嬉しいですね。」
若いシンガーソングライターへのメッセージ
──音魂を読んでいる方には、若いシンガーソングライターも多いです。何かメッセージをいただけますか?
拝郷:
「シンガーソングライターは、今“やりたい”と思ったらすぐ“今”できるのが強み。誰かの力を借りなくても、自分で作って自分で歌えてしまうというのは、本当にスペシャルなことだと思います。私自身、普段はおしゃべりで変なことを口走っちゃうんですが(笑)、本当に大切な思いや感情は曲のなかで自然と出てくる。歌うことで扉がふっと開く瞬間があるんです。だからこそ、ぜひみなさんにも“今”思ったことを“今”音楽に乗せてほしいなって思いますね。」
今年の抱負・今後の展望
──2025年以降の活動や挑戦したいことなどがあれば教えてください。
拝郷:
「今年は、もっと“誰かと何かをやる”ことを楽しみたいんです。シンガーソングライターってどうしてもひとりになりがちだし、自分の世界で曲を書きがちなんですけど、面白そうな話をもらったら気軽に『やります!』って飛び込みたい。
社会の流れの中で自分がどう動けば周りがスムーズになるのか? そんなことを考えながら生きるのも好きなんですよね。ライブだけでなく、いろんな人とのコラボやイベント参加など、“音楽でなにかできないかな?”と思う機会は積極的に活かしていきたいです。
答えはいつも出ないんですが、考え続けることが歌の源泉にもなるし、そこで得た感覚をライブや作品づくりに還元していけたらいいなと思っています。」