【ライブレポート】帯盛かれん「冬支度」2024.10.4 心斎橋FootRock&BEERS
バンド形式として初となる帯盛かれんのワンマンライブ-冬支度- は帯盛かれん(ギターボーカル)、立石リョウ(ギター by apricotliliy)、みーちゃん(ベース byみみみ食堂)、KAZU(ドラム)のメンバーで心斎橋FootRock&BEERSにて行われた。台風の影響でスタジオ練習の日程が飛んでしまったりした(帯盛)と後にMCで語っていたが僅か数回の練習とは思えないサウンドで観客を魅了した。会場は開演前から観客の興奮がヒシヒシと伝わり続々と席が埋まり賑わうなかで、照明が暗くなりそのステージは始まった。
暗幕が上がると、そこにはバンドメンバーの真ん中でギターを構えた帯盛かれんの姿が。優しく会場の緊張を解きほぐすように、照明が灯り、帯盛の芯のあるギターの音色が響き渡った。立石(Gt.)のギターサウンドがゆっくりと帯盛の弾き語りに溶け込み、一気に心を奪われる観客の視線の中KAZU(Dr.)とみーちゃん(Ba.)のリズムが飛び込み臨場感が最大に高まった瞬間に帯盛が歌いだした。ライブは「遊歩道」からスタートを切った。
歌詞の中に「ようこそここはプロムナード」とあるように、観客は気づけば帯盛の世界に引き込まれていた。バンドサウンドの中でも伸びのある帯盛の声はさらに磨きをかけ「バンドになるとさらに化けます」とインタビューで語っていた答えを一気に魅せる彼女の姿がそこにはあった。サウンドは続けて「アナログテレビ」の踊りだすようなリズムで勢いをつけていく。会場からは掛け声が飛び交い昭和の情景をロックサウンドに乗せて会場を揺らした。
MCが始まると「こんばんは!」(帯盛)と近所の人にばったり会ったような挨拶で会場からは笑い声が。そのあとに「嬉しいです!来てくれてありがとうございます!びっくりした、いっぱい来てくださっていて。楽しいです!」(帯盛)と、彼女のライブの魅力であるMCと歌のギャップに観客からは拍手が沸き起こった。
「今年は季節が過ぎるのがゆっくりだけれど冬支度に合わせて涼しくなってきたね、まだ暑い日もあるけど…台風もゆっくりやったしね」(帯盛)と観客の笑顔を残しつつKAZU(Dr.)のカウントで「土産話もないけれど」は自然と手拍子が起こった。思わず体が揺れるようなリズムに乗り、立石(Gt.)がギターソロで鮮やかなアレンジを披露した。曲が終わると共に下を向きギターでジャジーなコードを弾き始める帯盛、そして歌いだす「she needs a waltz」では英語の表現の中でも切ない情景と音源とまるで変わらない歌唱力を魅せた。
MC:「消しゴムハンコを作ったんです夜中に、なのでよかったらスタンプ押していってください。ハンコは売り物じゃないんですけどね」(帯盛)と話すと自然と起こる笑い声にまた温かい空気が流れながらも、前日夜にライブを思い手作りで作った帯盛の姿にこの日を特別に思う感情が伝わった。「やさしいライオン」で柔らかく会場を再び包むと「次にするのはバンドをしたくて書いた曲です」(帯盛)と「風を待つ」が始まった。耳に残るギターフレーズで始まりKAZU(Dr.)の基盤を支えるビートにバンドサウンドは厚みを増していく。サビのコードがステップを踏むように変わるこの曲はまさにバンドで進化する曲だと会場を沸かせた。曲が終わりバンドメンバーを親しみある呼び名で紹介した後に、ソロ弾き語りへと雰囲気は変わる。歌い始めたのは「春闌く朝に」まるで潮の満ち引きのように透明感のある声と曲の波に弾き語りでの姿で空気を変えた。「今日はワンマンライブだというのに朝から曲を作っていました…」(帯盛)
すると置いてあったノートを譜面台に立てはじめる。会場からは「今!?」と驚きの声があがる中、新曲「オーバーソウル」は始まった。観客のざわつきをかき消すような、いやそもそも帯盛にとって曲を作り歌うことはいつ何時どこであってもスタンスは同じなのだと感じさせる瞬間だった。「落花生」では季節を感じさせる歌詞と共にどこか背中を押すメロディに客席からは涙を流す観客の姿もみられた。「この曲は海野夕凪ちゃん(SSW)と作った歌なんです。意見の食い違いが多々発生…」(帯盛)と曲の穏やかさをひっくり返す帯盛節をみせ一気に笑いで明るくなった会場で「マッコウクジラは立って寝る」は響いた。都会に住む中でみえる人の景色を歌ったこの楽曲はファンも多い曲の一つである。続いて「夏の短夜」。そして、ソロ弾き語りの最後の曲を前に、バンドメンバーそれぞれを紹介し、感謝を語る帯盛の人柄が垣間見えた。「湯水のように」では目を瞑ってききたくなるような染みわたる音を観客に届けた。
再びバンドメンバーを舞台へ呼ぶとグッとかっこよすぎる帯盛の楽曲「扉」が開いた。改めてバンドメンバーそれぞれのレベルの高さが圧巻に伝わるアレンジに、どこかレトロとロックを掛け合わせた帯盛の小節。曲が終わるとバンドメンバーからMCの空気感に総ツッコミが起き支え合う雰囲気に微笑ましいと思うも「私の楽曲で一番難しい曲やります」(帯盛)と「コメディアン」がはじまった。歌詞の中にセリフのように入る関西弁が特徴のこの楽曲はキャッチ―で印象的な楽曲だ。
「今日足を運ぶ先がここで、明日またそれぞれが別々の場所へいく。その情景にあった曲を歌おうかな」と語った後に歌った「お祝い」の歌詞は帯盛の奥深い言葉が溢れる楽曲の中でも真っすぐに人の背中を押す歌詞が注目だ。会場からは曲が終わるとともに手を挙げて拍手する観客の姿が多くみられた。歌声とともに始まった「さらばよ、はぐれ街道」ではライブの終わりが近づく空気を感じさせながら、「辿り着けるだろう、地図はないけれど僕らの幸せのありかへと」の歌詞のように次の舞台へ進む彼女の姿がシンクロしてみえた。楽曲は、みーちゃん(Ba)の地盤を支えるベースが際立ちバンドサウンドもどこか優しく帯盛を包んでいた。
MC:「実は次で最後の曲です」(帯盛)と共に会場からは惜しむ声が。「このライブ来てよかったと思う人!」(帯盛)という純粋な質問に会場も手を挙げて真っすぐに答える姿があった。帯盛のこの親しみやすさがファンとの絆の根底にあるのだろう。「ほな!最後の曲にします!」(帯盛)と観客の拍手とともに「ロマンスの行方」は手拍子もリズム隊に加わり掛け声も起こり一層と会場を沸かせた。涙と笑顔が混じった観客の声に帯盛は最後までその情熱と感情を全力で届けていた。
曲が終わると、止まることのない拍手「ありがとうございました!」(帯盛)とバンドメンバーと共に舞台を去るとアンコールの手拍子が。再び登場した彼女はこのバンドワンマンライブを開催すると決めた当時の思いを語った。「バンドアレンジって何?というところから始まったこのワンマンライブ、温かいバンドメンバーに支えられ、今日来てくださった皆さんのおかげで自身満々でやれました!」(帯盛)さらに衣装の紹介を続けた。「この衣装、作っていただいたんですよ。アキコ.さん(SSW)ありがとう!」と関わった方への感謝の気持ちを順番に語った。そしてこのワンマンライブを締めくくったのは「青写真」温かく日常を綴ったどこか懐かしい楽曲に青く照明に照らされた帯盛の姿、そして涙をすする音が聞こえる会場はとても優しい空間だった。
ライブ後聞こえてきた「なんやろう今めっちゃ幸せやな。」という客席からの声は、帯盛の作ったライブに関わった人全てが感じた感情だろう。終了後もすぐに客席へ、一人ひとりと関わる帯盛かれんの姿は彼女の人柄が見えた場面だった。彼女に救われている人は多いだろう。そしてこれからも、彼女は音楽を愛し続け、さらに多くの人々に感動を届けていくに違いない。バンドワンマンライブとして新たな一面を見せた彼女、今後の活躍に注目である。そしてこの「冬支度」のイベント後の夜から日本が涼しくなったのは、彼女とファンの1日を描いているようだった。
帯盛かれんバンドワンマンライブ「冬支度」配信はこちら!
配信アーカイブ購入は10/18(金)23:59までです!
なんと500円!
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02v6a2vpfh041.html