俳優として数々の作品に出演しながら、28歳でギターを握り、独学で曲を紡ぎ始めた葛山陽平。



“検索に引っかからない感情を抱える人に寄り添いたい” と語る彼は、妖怪「うわん」をモチーフにした新曲のMVをすべてセルフプロデュースした。


俳優とシンガーソングライター、二つの軸を行き来しながら生み出される創作の源泉と、SNS時代に感じる孤独まで──。
息づかいそのままのロングインタビューをお届けする。

1. 自己紹介と俳優デビュー

―自己紹介をお願いします。
俳優・シンガーソングライターの葛山陽平です。よろしくお願いします。

―俳優業はいつ頃から?
小学6年の終わりに NHK『中学生日記』の一般オーディションを受けました。極度のあがり症を克服したくて挑戦したら合格し、中学3年間本人役で出演しました。主演やトーク番組にも参加し、表現の面白さに目覚めました。大学では舞台を学び、演劇活動を経て俳優として本格的に歩み始めました。


2. 舞台・映像・バラエティまで

―舞台が原点とのことですが、映像やバラエティにも出演されていますね。
連続テレビ小説やかんぽ生命のCMなどに出演しました。

テレビ東京『ゴッドタン』や佐久間宣行さんの YouTube『NOBROCK TV』などバラエティにも呼んでいただいています。舞台で培った瞬発力が映像でも生きていると感じます。


3. 音楽活動のスタート

―音楽はいつ頃から?
歌うことは好きでしたが、“シンガーソングライター”と名乗れたのは最近です。カラオケ大会に出場した際「歌をやったほうがいい」と言われ、ボイストレーニングを始めました。

28歳の冬に初めてギターを手にし、オリジナル曲を作り始めたのが3年前。最初は「好きな曲を弾ければいいな」程度でしたが、創作意欲が膨らみ、ペースが加速しました。寄り道の途中で音楽活動が始まった感覚です。


4. 影響を受けた音楽・表現

―影響源は?
最も聴いていたのは Mr.Children。コブクロも中高時代の愛聴盤でした。大学以降は星野源さん。日常を切り取る詞に惹かれました。舞台脚本や戯曲からも影響を受けています。好きな作品に触れると「自分もこんな景色を描きたい」と背中を押されます。


5. 作詞・作曲のプロセス

―詞とメロディ、どちらが先?
サビのメロディが先に浮かぶことが多いですが、詞と同時進行に近いです。メロディは風呂場でよく湧き、歌詞は散歩中にメモ帳へ書き溜めています。思い出したフレーズをあとでメロディに当てはめる作業が楽しいんです。


6. 俳優経験が音楽に与える影響

―俳優経験は音楽にどう影響しますか?
役として生きる癖が染みついているので「誰の視点で歌うか」「誰の言葉か」を常に考えます。舞台は脚本全体の一部ですが、音楽は自分の言葉がすべて。その違いに気づき、作品に対する覚悟が強まりました。


7. 新曲「うわん」が生まれた理由

―妖怪「うわん」をテーマにした理由は?
自己紹介が苦手で、検索ワードに引っかからないと存在しないような感覚があります。SNSで他人と比べて落ち込む自分に気づいたとき、「かまってほしいのに関わり方が分からず泣き叫ぶ」妖怪うわんを思い出しました。

哀れで悲しい存在がネット社会に通じる気がして曲にしました。


8. MVをセルフプロデュース

―MV制作で一番大変だった点は?
構成・監督・編集・造形まで一人で行いました。実写で自分が映るため照明や動きの微調整が難しく、「もっと躍動感がほしい」と思えば撮り直し。こだわり抜いて完成させました。


9. SNSとクラウドファンディング

―SNS運用で心掛けていることは?
SNSは得意ではありませんが、応援してくれる人がいるので途切れさせたくありません。今回のMVも小規模クラウドファンディングで制作費を集め、過程や思考を共有するため note に文章を残しています。

葛山陽平 note https://note.com/rosy_hornet130


10. これからのビジョン

―音楽面での目標は?
動員や会場規模より、“検索に引っかからない感情”を抱える人に届く作品をつくりたい。

俳優・音楽・映像を融合したクリエーションで、人をそっと救う表現を目指します。


11. ライブ情報

〖バースデーライブ〗
2025年8月29日(金) 赤坂カンティーナ


ミュージカル女優と女性シンガーを迎え、音楽と演劇をミックスしたステージを予定。詳細は Instagram 固定投稿をチェック。


12. 読者へのメッセージ

初めて知ってくださった方、いつも応援してくださる方、本当にありがとうございます。MV『うわん』は、手作りの造形美術や、ストーリーにも注目してぜひ最後まで楽しんでもらえたら嬉しいです。どんな挑戦をしていくのかは自分でもわかりません。ただ、変わらず誰かの心の模様を大切に表現していきます。その途中であなたが感じた言葉で僕の輪郭を作ってくれたら嬉しいです。誰かが「今日少しだけ頑張れた」と思える音楽を届け続けます。