J-POPグループ 天才凡人(MiNE/SHIMADA/Hyonn)。
キャッチーから骨太まで“ジャンルレス”に鳴らし、ライブでは観客との距離が近い。
コロナ禍を越えて全国へ“会いに行く”ツアー『The Buffet』を完走した今、彼らの目はどこを向いているのか。
最新ツアーを完走した今、彼らの心境と次なる目標を聞いた。※Hyonnさんはスケジュールの都合により欠席
--それでは早速、グループの自己紹介と、お一人ずつ簡単な自己紹介をお願いします。
MiNE
天才凡人ボーカルのMiNEです。よろしくお願いします。天才凡人はJ-POPグループで、キャッチーな楽曲からライブで盛り上がる曲まで、ジャンルに縛られず幅広く作って、各地でライブをしています。
SHIMADA
天才凡人のDJ・SHIMADAです。ライブではDJをしつつ、作曲はMiNEとメインで担当しています。DJの枠にハマらないパフォーマンスも評価していただいていて、客席で踊ったり、担がれたり(?)といった“巻き込み型”のこともやります。よろしくお願いします。
--皆さん関西ご出身ですよね。お二人は大阪ご出身とのこと。
MiNE/SHIMADA
そうです、大阪です。
--2011年結成から10年以上。お二人それぞれ「音楽の道に進もう」と決めた原体験を教えてください。
MiNE
小学生の頃、家の近くにCDレンタルショップがありました。父がバーを経営していて、店で歌う曲を家で練習していたので、いつも音楽が流れていたんです。ランキング1位から10位までまとめて借りたり、店頭に置かれていたコピーの歌詞カードを集めてノートに貼ったり。父の影響とレンタルショップの存在が、音楽にハマる入り口でした。

SHIMADA
幼少期はあまり音楽を聴いていなくて、「音楽は女性が好きなもの」という偏見すら持ってました(笑)。でもテレビで『ミュージックステーション』を観て、GLAYさんのギターに衝撃を受けて、「これ、俺もできるな」と根拠のない自信が湧いて、ギターを買ってのめり込みました。そこが始まりです。
--メンバー同士の出会いはいつ頃?
MiNE
10代からいろんなバンドをやっていて、19歳の終わり頃、カウントダウンライブをやろうとなった時、ドラムとベースしかいなかったので「ギターが欲しい」と友人に相談したら連れてきたのがSHIMADA。コピー・バンドを一緒に組んだのが最初の出会いです。
--Hyonnさんとはその後に?
MiNE
はい。大阪で7人編成くらいのバンドをやっていた時期があって、SHIMADAは「ギターが弾ける」という根拠のない自信で挑んだものの、結果クビに(笑)。僕も歌に根拠のない自信で挑んで玉砕して……で、「じゃあ東京に行こう」と。僕が先に上京し、1年後に作曲家志望のSHIMADAが上京。僕はソロ、SHIMADAはトラック提供という関係になりました。
その頃、別アーティストの紹介で「歌はめっちゃ上手いけど他は何もできない兄(=Hyonn)がいるから一緒にやってくれないか?」という話が来て、そこでHyonnと出会いました。
--グループ名「天才凡人」の由来は?
MiNE
最初は横文字でカッコつけた「Soul climb(ソウルクライム)」みたいな案を出してたんですが、反応がイマイチで(笑)。そこで「横文字より漢字がいいんじゃない?」という意見が出て、「天才」と「凡人」という真逆の言葉をくっつけたら印象に残る、と。Mr.Childrenさんのように対照的な言葉を合わせる発想も参考にして、「天才凡人」でいこうと決めました。結果、一発で覚えてもらえる名前になったと思います。
--MCの評判も高いですよね。現在の“親しみあるMC”スタイルは最初から?
MiNE
台本どおりは苦手な人(=Hyonn)がいて(笑)。セリフを決めても全くその通りにできない。その代わり自由に話すとHyonnの良さは凄い出るので、Hyonnを自由に喋らせて、僕がツッコむほうがしっくりきたんです。ガチガチに決めるより、楽屋と同じテンションで自然体に喋るのがテーマですね。
--作家としての楽曲提供もされているお二人。楽曲提供の際に意識していることは?
MiNE
天才凡人の曲は、自分たちがステージで歌うから“自分たちが言いたいこと”をメインに書きます。楽曲提供は第三者のアーティストが歌うので、そのキャラクターや特性を理解したうえで、プレイヤーじゃなく“監督”の視点で作る意識ですね。「このプレイヤーにこういうプレーをさせたら爆発力が出るんじゃないか」。自分たちならライブでやらないタイプの曲でも、そのアーティストのライブでは映える――そんな発想で書きます。提供曲をきっかけに僕らのライブへ“帰ってきて”くれたら、「あ、レコタイ(日本レコード大賞)で作曲賞を取った曲を作った人、ライブではこんなに歌って踊るんや!」っていうギャップも楽しんでもらえるはず。結果的に、自分たちのライブでしかできない曲/自分たちにしか言えないことも、よりはっきりしていく感覚があります。
SHIMADA
提供曲では、**僕らでは出しきれない“かっこよさ”や“可愛さ”**をあえて組み込むこともあります。逆に天才凡人の曲を作るときは「そんな砕けたこと“僕らしか”できへんやろ」という攻め方で。どっちも振り切ることで、バランスよく楽しめています。
提供アーティスト(抜粋)
嵐/King & Prince/Snow Man/TWICE/Nissy/Da-iCE/東方神起

--天才凡人“ならではの音”で大事にしていることは?
SHIMADA
今っぽい“カッコいい”だけで完結しない、ちょっとユーモアがあるギャップ。そこは僕らにしか出せないと思っています。
MiNE
作詞では「テーマが僕らに似合うか」「他と被らないか」を重視。メロディは“耳に残る一点”を必ずつくる。足し算だけじゃなく引き算も大事にしています。アイデアを出した時のメンバーやスタッフの“顔色”(テンション)も指標です。全員が一斉に「それだ!」となる瞬間がベスト。
--天才凡人にとっての転機は?
MiNE
結成2年目の初ワンマン時、サポートDJのスケジュールが合いづらくなって。「曲を作っているSHIMADAがDJやれば?」と提案したら、また根拠のない自信で「やるやる」と(笑)。そこから正式発表もないまま自然に3人組になりました。2人だけだと意見が割れやすいけど、3人だとバランスが良くなりましたね。
--直近ツアー The Buffet(ザ・ビュッフェ) について。タイトルに込めた意味は?
MiNE
コロナ禍でなかなか行けなかった地方に“会いに行く”がテーマ。自分たちだけでなく、各地の仲間アーティストの力も借りてツーマンなどを組みました。自分たちの好きな音楽と好きな仲間を“全部並べる”“取り放題”のイメージで「The Buffet」にしました。
--ツアー限定曲のテーマは?
SHIMADA
ゲストが多いとパーティー・ソングに寄りがちですが、今回はカッコよさも残す方向に。古いヒップホップ的なノリも少し入れました。
MiNE
歌詞はツアータイトル通り、“好きな音楽を、好きな仲間と”。初披露時は「どう乗るの?」という戸惑いも見えましたが、手応えはしっかりありました。
--会場選びやセットリストの工夫は?
MiNE
各地の会場や仲間アーティストへの声掛けはHyonnとスタッフが中心に頑張ってくれました。Hyonnはコミュニケーション能力が高いので引っ張ってくれました。セットリストは会場ごとに大きく変え、1曲目から全然違う構成の日も。どの日に来ても楽しめるようにしました。
--ゲストとの舞台裏や印象的なエピソードは?
MiNE
長く活動してきた仲間が多く、コロナ禍で活動休止や解散もある中、「続けてきたから見える景色があるよな」と語り合いました。ファイナルはソールドアウトで、ファンの皆さんと見た景色は格別でした。同窓会みたいな空気も少しありましたね。
SHIMADA
久々に会う仲間も多く、気づけば4〜5年ぶりという人も。感情がグッと込み上げました。
--ツアーを通じての発見や成長は?
MiNE
コロナ後、「本当にお客さんは来てくれるのか」という不安があったけれど、各地で待ってくれている人がいて、僕らが勝手に怯えていただけだと実感。だからこそ、もっとチャレンジしていこうと腹をくくれました。
SHIMADA
しばらくライブから離れていた人が戻ってきてくれて、「やっと闇が抜けた」と感じました。これなら安心して“怪我できる”(攻められる)な、と。
--楽曲制作面で“譲れない”ポイントは?
MiNE
耳に残るワンフレーズを必ず仕込むこと。複雑なAメロならBメロは分かりやすく、など強弱の設計も大切。メンバーとスタッフの反応が“同時に跳ねる”案を選びます。
SHIMADA
僕らは人柄的にもライブのMC的にも“とっつきやすい”。だから曲には少し“にくい”(尖った)要素を混ぜてギャップを出すようにしています。
--天才凡人として、今後の挑戦やビジョンは?
MiNE
2026年に全国8カ所のワンマンツアーを発表しました。まだ行けていない土地も多いので、47都道府県制覇は目標。年齢を重ねた今だから書ける歌詞でヒットも狙いたい。僕らのディスコグラフィーが、聴き手にとって“日記”のように時代ごとの気持ちを閉じ込める存在になれば。
SHIMADA
サブスクでよく聴かれているのは比較的“暗め・切なめ”の曲。そこは突き詰めたい。その上でライブでは「何じゃこりゃ!」と驚かせるギャップを楽しんでもらえたら。ライブ映像作品もしばらく出していないので、形にしたい。アルバムも作りたいですね。やりたい曲が多すぎて何十曲でも入れたいくらい(笑)。
--ファンとの交流で印象的だったことは?
MiNE
僕らはステージから“連れていく”というより“一緒に頑張ろう”の距離感。全力で歌って息が上がっているところまで見せる生々しさが、心の距離を近づけているのかなと。いわゆる“投げキス”に黄色い歓声が上がるタイプではなく(笑)、そこも含めて親戚みたいな距離感です。
SHIMADA
ツアーでは有料会員さん限定の“決起集会”も開催。新潟や仙台などで「ずっと待ってた」と声をかけてもらい、行けて良かったと実感しました。会員限定ワンマンや、限定音源・ポイント企画なども引き続き強化したいです。
--AI時代の音楽が普及する中、天才凡人としての音楽をどう作っていきたいですか?
MiNE
AIで“70〜80点”の楽曲は作れる時代。ただ“120点”は人にしか出せないと思っています。歌詞のテーマや人間の深い部分は、これからも追求したい。良いところは取り入れつつ、うまく付き合っていく。
SHIMADA
僕らのライブは、時に“ミス”すら盛り上がりの要素になる(笑)。そこは唯一無二。AIが進化しても負けない自信があります。

--最後に、読者へのメッセージをお願いします。
MiNE
どの曲から入っていただいても、掘るほど深みにハマるはず。1曲気になったら2曲、3曲……と、ぜひ聴き進めてみてください。
SHIMADA
もし少しでも「面白そう」と思ったら、曲を聴く前でも構いません。とにかくライブに来てほしい。絶対に楽しませます。
インタビュアー
最後に告知を。チケットのご案内などあれば。
MiNE
2026年の全国8カ所ワンマンツアーを発表しました。詳細・チケット情報は公式サイトとSNSで順次お知らせします。※いただいた情報は記事下の告知欄にも反映します。写真素材などはスタッフさんからご提供ください。
MiNE
最後にHyonnから一言伝えたくて..
「これからも一生懸命頑張ります!」
