幼少期から手を取り合ってきた奈良県天理市出身の二人組アーティスト「想ワレ」。アコースティックギターのえみこと、オートハープのちえみが奏でる音楽は「感謝」や「生きることの大切さ」をテーマに、人々の心を温かく包み込む。そんな彼女たちの想いに迫ってみた。
二人が出会い、想ワレとして活動をはじめたきっかけはなんですか
えみこ:私たち、出会ったのが幼稚園なんですよ。だから私は出会ったときはあまり記憶に無くて。
ちえみ:私は覚えてる!逆上がりができない時に、えみちゃんにツッコまれた記憶があるよ!(笑)
えみこ:ええ、そんなん言ったかな(笑)小学生の時の記憶はあるよ。二人とも小学校の時のクラブでオーケストラ部に所属していて、私が第一バイオリンでちえみちゃんが第二バイオリンで。その当時はオーケストラっていう団体の中だったので、二人で話す機会はまだ無かったけれどお互いあの子いるなぁくらいの意識はしていました。全国大会まで進んで、当時から一緒に音を奏でることはしていました。
ちえみ:私たち、幼稚園から専門学校まで一緒だったんです。小学校のときは、えみちゃんは凄く明るくて友達に囲まれていて私はどちらかといえば人見知りで大人しかったと思います。
えみこ:中学に入り同じバスケ部に入部し、家が同じ方向だったので数人で一緒に帰るようになって、そこから話すようになりました。そんな中で、中学二年生の時に私がアコースティックギターを始めたんです。歌を歌うのが好きで、兄弟とカラオケに行ったりしているうちに、家でも歌いたいなと思ってギターを手に取って。当時globeが好きで、カセットテープで何度も聴きながら練習して、でも私自身声が低いタイプなのでメインのキーが私には少し高くて。ずっと小室哲哉さんのハモりパートを歌っていたんです。そのうちにハモることが凄く楽しいと思うようになって、誰かメンバーが必要だと。そこで同じバスケ部でカラオケに行ったときにマイクを離さない子が居て(笑)それがちえみちゃんだったんです。この子歌が好きなんだなと思って声をかけたのが始まりです。気が付けば今年で25年目です。
ちえみさんがオートハープを手にして演奏し始める今のスタイルになったきっかけは?
ちえみ:私も、えみちゃんと同じタイミングでアコースティックギターを始めたんです。でもバレーコードというFを押さえる時の指のカタチで音がうまく鳴らなくて、当時はゆずが流行っていたのもあってタンバリンを叩いたり鍵盤ハーモニカを吹いていました。オートハープと出会ったのは二十歳の頃、大阪のキャットミュージックカレッジ専門学校に通っていたときです。講師の先生が、吹田の5th Street(現在は南堀江に移転)で飛び入りライブがあるからおいでよ!と言ってくださって、はじめは、えみちゃんが一人で通っていたんですが誘ってもらって二人で歌って。それから何度か飛び入りに参加させてもらうようになり、その中でマスターからレギュラーで歌ってみるかとお誘い頂いて。はじめはノーチャージからスタートして毎週水曜日に歌うようになったんです。そこのマスターが楽器に詳しくて、ある年の私の誕生日の時に「ちえみもう少しで誕生日やな」と目の前にオートハープを出してくれたんです。
私驚いて、何だろうこの楽器どうやって弾くんやろう。と思って。「この楽器ちょっと使ってみたらどうや」と言ってくれたのがオートハープとの出会いです。今思えば、オートハープは全国で演奏している人が少ない楽器で、持っているだけで華があるこの楽器を渡してくれたのは、私に自信を持ってほしいという優しさだったのかなと思います。
えみこ:その5th Streetは今南堀江にあって、今もよくしていただいているんです。
二人で活動する中で、お互いの楽曲の役割分担や曲を作る際の原動力は何ですか
えみこ:楽曲はそれぞれ個人で作っているものが多いです。合作が出来上がるときは、どちらかが「こんなメロディできたんだけど」って提示して、もう片方が「じゃあ歌詞つけてみようか」って話し合って作ったりもするんですが、基本的にはお互い書きたいものやイメージがあるのでそれぞれで作っていますね。ちえみちゃんは応援ソングやメッセージ性のある曲を書いてくれるので、私は恋愛の曲だったり、物語のようなストーリー性ある曲を書いたりしていますね。
ちえみ:活動していてお互い年齢と共に書く曲調も変わってきているんですが、私自身曲を作るうえで大きな変化があったきっかけが、母親が亡くなったことなんです。私の母は心の病気になって、心の病気のまま亡くなってしまって。私は音楽をやる上で何を伝えたいんだろうって立ち止まったときがあって。心苦しんでいる人がいたときに、その人が前を向いていける曲を一曲でも多く作って歌っていきたいという、エゴかもしれないけれどそういう思いが強くなって今の楽曲たちが生まれています。自分の生き様が誰かの励みになるならと素直な思いを歌で届けていきたいと思って公表することにしたんです。
そういう想いの曲が多いのでえみちゃんは、違う方面からの楽曲を沢山生み出していて。えみちゃんのベクトルで届く人もいるし私のベクトルで届く人もいる。二人だからこそのバランスが取れているのかなと思います。
えみこ:色んな楽曲があって、その曲たちが色んな人の勇気になって元気のきっかけになっていて。それが想ワレの音楽であれたら、温かい場所になれたらいいなと思ってライブを一本一本やっています。
二人で活動を始めて25年、大切にしていることやお互いに成長したと感じる部分はありますか
えみこ:すべてに感謝することは原点として常に心にとめています。こうして今歌えること、コロナ渦になって気づいたこともありますが、色んな人生があって環境が変わる中で「再会」することもまた多くて。想ワレのことを覚えてくれているのも嬉しいし、ライブになかなか来れなくてもまた会える喜びを最近は感じることが多くて。本当に感謝だと思います。
自分が成長したと思ったのは、ちえみちゃんが2020年に妊娠し、育児休暇に入った時期。想ワレえみことして一人でライブをするようになったんです。初めてソロで出たときに、二人で活動していた環境からガラッと変わったのを肌で感じて。ステージでちえみちゃんが喋ってステージを引っ張ってくれていたことも、一人だと全て自分でやっていくんだなと。
想ワレの楽曲は、ちえみちゃんの高音と私の低音のパートに分かれている曲が多いので、一人でそれまでの二人の楽曲を歌ったときに、うまく歌えないと思ったときもあって。改めてちえみちゃんの凄さを痛感した時がありました。ファンの方が楽しみにしてくれている、二人ならではの掛け合いも出来なくて、一人で話すとスベッてるのかウケてるのか二人のときよりはわからないし(笑)本当に全然別物だなと感じたんです。でもその中で、自分に足りないものを見つめなおすことができたので、凄くいい経験でした。
ちえみ:昔を振り返ると、確実に今が一番想ワレ仲が良いと思うんです。お互いが尊敬し合っているなって最近特に思うから。えみちゃんが私の育児休暇の間ソロで活動して、二人で久しぶりにステージに立った時、より一層頼りになるところが増えていたんです。そんなえみちゃんに負けてられないって思える自分の想いも生まれて。二人で一つだから競争心はそんなに要らないかもしれないんだけれど、相乗効果として凄く感じた部分でした。
私自身の成長のきっかけは子どもを出産した年、子ども出産の3か月後に父が亡くなって。命の誕生ってこんなに大変なのに、人が亡くなるときってこんなに一瞬なんだと思って。その時に一人ひとりの命の大切さとかけがえのなさを感じるようになったんです。もう一つはその育児休暇の間に、周りの皆が凄くレベルアップしていて。自分はこれからどう成長しようかなって見つめなおしました。ずっと活動していたえみちゃんを見ていたら凄いなって思います。
私自身、昔に比べると今は『この人のここが素敵』『あの人のここが凄い』と、それぞれを尊敬できるようになりました。人のいいところを見つけるのが上手いのは、えみちゃんやなって思います。ソロ活動から二人に戻ったときに沢山友達を作ってたから、本当にえみちゃんは凄いなって思いました。
えみこ:二人の時は楽屋でも、二人の空気を作っているところはあったかもしれなくて。ソロの時に楽屋で一人でいて、ソロアーティストってこんな感覚なんだなと思ったりしました。ちえみちゃんが威嚇してたのかもしれないけど(笑)でも私はここ最近、ちえみちゃんが人に対して心開いてきているのがよくわかります。昔は本当に人見知りで心開くのに時間がかかっていた印象だけれど、それは本当に成長だなって感じます。
今後の想ワレとして活動するビジョンはなんですか
えみこ:今年「Thank you Fes」というイベントを奈良の天理で行う予定だったんですが台風で延期になってしまって…でもそれ以降、天理で歌わせていただける機会が増えたんです。私たち地元を離れたのが18歳の時だったので、天理って今こんな素敵なところあるんだって、あったかくていい街だという再確認もできて。
もっと、音を通して天理を盛り上げて、天理という場所のいいところを全国に広げていけたら恩返しになるのかなと感じています。今後は地元のホールで聴いていただけるように挑戦もしていきたいです。そして地元を盛り上げていけたらと思っています。
おばあちゃんになったときも、入れ歯を調達してでも二人で活動していると思います。(笑)
ちえみ:私もえみちゃんと同じ気持ちですね、Thank you Fesも3月に近づいているので色々なことが決まりつつあって発表を楽しみにしてもらえたらと思います。
最後に、ここまで読んでいる方、ファンの方にひとことお願いします
えみこ:えー、ほんとうに…
ちえみ:めっちゃかしこまってるやん!(笑)
えみこ:いや!(笑)本当にありがとうという気持ちと、きっとこれを読んでくれる方の中に久しぶりに見てくれている方もいると思うんです。「なかなかライブいっていないから申し訳ないな」という声を時折聞くんですが、全然そんなことを気にせず私たちはいつでも「おかえりなさい」と「ただいま」が言い合える場所を、ライブというカタチで表現しているので、遊びにきてください。
ちえみ:元気で生きていてねと伝えたいな。元気でいるからこそ、会いに来れると思うから。健康第一でお会いできることを楽しみにしているよと伝えたいです!
想ワレ:ありがとうございました!
2025年3月30日(日) 天理市制70周年記念 想ワレpresents「Thank you Fes」
【会場】天理コフフン 奈良県天理市川原城町803
【時間】10:00〜 入場無料 ※雨天決行(荒天中止)
【出演アーティスト】 想ワレ アダチケンゴ ヒサ絵 TAROO from キャラメルパッキング 平野里沙 山口大貴 西村加奈 神園さやか -GUEST- 天理市PR大使 クラリネット&サックス奏者 辻本美博 -MC- リスナップ藤本
2025年4月6日(日)神戸K-wave 想ワレワンマンライブ 〜KOKORO Rhythm Session〜
【出演】想ワレ Ba:宮廻秀行 Dr:橋爪拓
【スケジュール】開場11:30 開演12:00
【チケット】前売¥4,000 / 当日¥4,500(ドリンク代別途)